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秋田・樺細工の産地を訪ねて【社長 鶴田浩ブログ】
今回は「樺細工」の産地、秋田県・角館をご紹介します。初めて僕が訪れたのは2015年ですが、江戸時代の面影を残す町並みの美しさに圧倒されたのを覚えています。ここに伝わる樺細工という伝統工芸は日本固有のもので、全国でも秋田県・角館だけが唯一の産地として、今もその技術を守り続けています。私たちの最も身近にある樺細工と言えば茶筒ですが、この樺細工が茶筒でお馴染みとなったのには理由があります。それは、世界でも類を見ないほどの高い密閉性。湿気の多い日本で、特に湿気を嫌う茶葉の保存には、樺細工が最適だったのです。
樺細工は山桜の樹皮でできており、日々手に触れることで艶やかさを増していきます。独特の光沢感は樺だけのもの。それも、厳しい冬の風雪に耐えた樹皮だからこそと言います。8月頃から原材料となる山桜の木肌を採取しますが、樹皮を剥いでも一部であれば樹木が枯れることはありません。「かばはぎ」と呼ばれる専門家が採取することで、樹皮は再生しその木は生き続けるのだそうです。その後、手作業で削りと磨きが繰り返され、一つずつ丁寧に仕上げられていきます。
民藝の父・柳宗悦は、角館を訪れた際、日本固有の素材と技法を持つ樺細工に魅せられ、その後3年間も技術改良に関わり、樺細工の礎を築いたと言われています。その感動は現在の海外展示会でも同じで、蓋を開けた瞬間に茶葉や珈琲豆の香りが放たれると、その一瞬で海外の方たちは樺細工の密閉性に驚きをもって大きく頷くのだそうです。強い香りは、高い密閉性の証。調湿効果のある保存容器としては世界最高峰です。そんな、日本を代表する工芸の一つである樺細工を受け継ぐ角館は、その街並みの美しさでも有名です。現在も江戸時代からの町割をそのまま残し、樹齢400年の大木並木や武家屋敷が連なる風情は「みちのくの小京都」と呼ばれるほど。もちろん、桜の名所としても知られています。
リアルスタイルでは、日本の優れた伝統工芸品を伝えるイベント「JTCW(ジャパン・トラディショナル・クラフツ・ウィーク)」の2015年開催時に樺細工の産地を巡り、その素晴らしさを広くご紹介させていただきました。以来、海外進出にも積極的な藤木伝四郎商店さんのプロダクトをはじめ、樺細工の取り扱いをしています。そして今年のJTCW2021では、リアルスタイル青山店で輪島塗をご紹介させていただきます。日本のモノづくりを体感しに、ぜひお出かけください。東京都内38店舗が参加し、10月29日〜11月11日で開催されます。
リアル・スタイル株式会社
代表取締役 鶴田 浩
当記事はDrive!NIPPONに連載されております。過去の連載記事はこちらをクリックください。
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